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2010年 8.15 平和メッセージ

主にある兄弟姉妹の皆さんへ

 今年も8月15日、敗戦の日を迎えます。わが国の過去の過ちを、一人ひとりが、主にある信仰を通して、しっかりと見つめる恵みにあずかり、世界の平和のために、それぞれができることを実行する勇気と力を願い求めて行きましょう。

今年は韓国強制併合100年に当ります。1910年8月22日に調印され、同29日に裁可公布された「韓国併合条約」によって、わが国は、朝鮮(当時は大韓帝国)を植民地とし、大日本帝国に組み込んで支配するようになりました。しかし、この条約が結ばれるおよそ40年前から、明治政府は朝鮮半島をアジア大陸進出の「生命線」と位置づけ、支配下に入れる計画を練り始めました。そして、朝鮮半島支配をめぐって戦われた日清戦争(1894~95)・日露戦争(1904~05)を経て、この韓国併合条約が、軍事力の圧力の下で締結されたのです。これに至るまでの、又、その後の朝鮮半島の人々の激しい抗議・戦い・独立運動を、強権によって徹底的に弾圧し、多大の命を奪い、皇民化、創氏改名、神社参拝を強要して来たわが国の歴史を、この時、改めてしっかりと見つめ直し、韓国・朝鮮の人々に与えた屈辱感、喪失感、絶望感に対して、深い反省と悔い改めをし、私たちが、二度とこのようなことを犯さない誓いを新たにしたいと思います。

それと同時に、植民地時代に苦しみを与えた人々に対して、特に、徴兵軍人、軍属、強制連行され強制労働させられた人々、旧日本軍性奴隷(元「従軍慰安婦」)の方々、又、敗戦と同時に「第三国人」という差別的な表現でもって、国籍選択の自由を奪われ、人権を奪われ続けている在日韓国・朝鮮の人々に、今に至っても賠償も補償も行われていない事実に対して、これをわが国の最大の課題として真摯に受け止め、国会で決議し実行するように、政府に対して求めていかなければなりません。これが実行されてこそ、未来に向かって、アジアの平和を願い、連帯し、共同体を形成していくことができると信じます。又、わが国の植民地支配が残した最も大きな傷跡が、朝鮮半島の南北分断であることを思い、あらゆる困難を乗り越えて、南北の和解と平和的統一が実現するように、願い求めて行きたいと思います。

1996年日本聖公会第46(定期)総会は、「日本聖公会の戦争責任に関する宣言」を決議しました。又、昨年の「日本聖公会宣教150周年記念 主教会教書」の中で、“教会は国家の戦争、特にアジア諸国への日本の侵略、植民地化に対して、キリスト教の信仰、福音に基づいた明確な理解や姿勢をもって発言することが出来ずにいた”ことを認めています。と同時に、“日本の侵略と植民地化によって被害を受け、後には日本の経済発展によって新たに経済的支配にさらされることとなった国々の人々と、悔い改めをもって和解と共生の関係を深めたいと願ってきました。とりわけ、日本が、朝鮮半島を侵略した歴史への反省と謝罪を十分に為し得ずにいた時から、大韓聖公会は、同じ信仰を分かち合う兄弟姉妹として、日本の歴史認識の不十分さや誤りを指摘しつつ、同時に個人、教会、教区、管区などさまざまなレベルでの交流の門戸を開いてくださいました”と述べています。この主にある交わりこそが、私たちの歴史認識の支えになり、関係改善への道筋になっていることを、改めて感謝したいと思います。

ご復活された主イエスが、恐れる弟子たちの中に立ち、最初に、「あなたがたに平和があるように」と語られました。私たち人間の心の奥底には、非常に強い暴力肯定の力が働いていることを否定できません。暴力肯定は、死を恐れ、自分の命を守ることがその根源にあります。その人間の一切の暴力を引き受けてくださった主イエスは、十字架の上に命を捧げ、死んで、葬られ、あらゆる暴力的な人間の営みを無にして、新しい人間の命の道を開いてくださいました。復活の命です。私たちが、死を恐れることなく、もう暴力のいらない新しい命に生かされる喜びへと導いてくださっているのです。そして、この復活の命、永遠の命の道は、聖霊によって、全ての民族、国民に開かれました。この復活の主イエスとの出会いの中にこそ、平和への道が備えられています。過去の歴史を厳しく見つめながら、信仰をもって、共に「主にある平和の道」を歩んで行きましょう。



日本聖公会 首座主教 ナタナエル 植松 誠
正義と平和委員会 委員長  主教 ダビデ 谷 昌二

2010.08.03 | 正義と平和委員会

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